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【一人会社の独学経理術】 複式簿記って何なんですかね?


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2021/04/23
2025/08/08
タコキンのカツカツ経営ブログ|複式簿記って何なんですかね?


おそらく起業したての小さい会社は、65万円の青色申告特別控除を受ける場合がほとんどかと思います。 この場合には、
『複式簿記』 による帳簿の記帳が義務付けられているため、正しく複式簿記の書き方を身につけることが必須になります。
また白色申告で申告している方も複式簿記の書き方を学んで、青色申告にチャレンジしてみることも良いと思います。

合同会社タコスキングダム|蛸壺の技術ブログ
【一人会社の独学経理術】 経理のことが全く分からないプログラマーでも複式簿記をなんとか頑張る物語

経理の知識がない一人会社経営のノウハウを気が向いたらまとめています。


簿記



ひとえに『簿記』といっても、単式簿記と複式簿記の2つがあります。
本記事では青色申告前提で話を展開しますので、複式簿記のことしか取り上げていきません。 よって、以降では「複式簿記」を単に簿記と表現します。

簿記 とは呼んで字のごとく「帳簿に書き記す」やり方を指した言葉です。
簿記と聞くと、なにか資格や検定試験のことかな?なんだかとてもハードルが高い...と昔は思っていたりもしましたが、そっちの簿記は
日商簿記検定 という、正式名称・「日本商工会議所及び各地商工会議所主催簿記検定試験」という厳つい名前の別物です。
なので、一人会社の経理のために必要最小限の簿記のやり方さえ覚えたら、なにも日商簿記検定の資格を取るための勉強をする必要は全くありません。
「一人会社の必要最小限の簿記」って何よ?というのをこれから考えていくのが本ブログの趣旨ですが、これを理解するヒントは会計ソフトの中身に散りばめられています。
以下は
マネーフォワード クラウド会計 のダッシュボードのホーム画面です。

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メニューから
[会計帳簿] の項目を覗くと、複数の帳簿が存在していることが分かります。
一見、これを全部管理するのはとても大変そうです。 でも「一人会社の必要最小限の簿記」とは、この内、「仕訳帳」と「総勘定元帳」の帳簿の付け方を覚えることですので、例えば他の現金出納帳や補助元帳などは覚えても覚えなくても良いと言えます。
更にいうと、「総勘定元帳」は「仕訳帳」を元にして決算報告までに作れていれば良い書類です。
つまり、まず一人会社の経理ごととして覚えるべきはこの「仕訳帳」の書き方ということになります。

簿記ごとの書類の作成義務



会社設立時に白色申告とか青色申告とか、控除を受けられる話がありますが、受けられる控除額によっては保管義務のある書類の種類が異なります。
また
令和2年から青色申告の控除額の扱いが変更 になったことにも注意が必要です。

白色(控除なし)  青色(10万円控除) 青色(55万円控除) 青色(65万円控除)
申告書 紙か電子 紙か電子 電子のみ
現金出納帳  ○  ○
預金出納帳
売掛帳
買掛帳
経費帳
固定資産台帳
仕訳帳 × ×
総勘定元帳 × ×

つまり、複式簿記には漏れなく仕訳帳と総勘定元帳の記帳義務が付いてくる、ということをしっかり押さえておく必要があります。
青色申告事業者は現金出納帳を含む各種補助帳を原則7年間保管しておく義務もあり、きちんと印刷して管理しておくことも心がけましょう。


仕訳 〜 借方・貸方(バランスシートの原則)



後述しますが、最終的な会計決算書の一つである
『貸借対照表(バランスシート;B/S)』 を理解する上で欠かせない概念に、 借方・貸方 というものがあります。
抽象的な話として、一つの"取引"は必ず二面性があって、その取引を行った結果として、「〇〇をしたのでお金が増えた」人と、「△△をしたのでお金が減った」人の必ずセットになっていないといけないわけです。
もっと抽象的に捉えると、この取引において、取引対象となっている"何か"を与える(手放す)方と、"何か"をもらう(手に入れる)方、が必ず存在しており、前者の性質を"貸す"、後者の性質を"借りる"と表現しています。
なので、この世のあらゆるすべての取引は、
"貸す"側と"借りる"側に分けられなければおかしい ことになります。
これは
「バランスシートの原則」 に他なりません。
そしてそのお金の動きを取引があった日に、二方向から記録していくのが
「仕訳」 です。
例えば取引を「現金」に着目したときに、先程でいう「〇〇をしたのでお金が増えた」人のほうを、"お金をもらった"ので
「借方(かりかた)」 、「△△をしたのでお金が減った」人のほうを、"お金を手放した"ので 「貸方(かしかた)」 となります。
なんだかとても難しいことを言っているように聞こえてしまいそうですが、"現金"を取引するときに、現金を借りるほう(借方)はお金を手に入れる結果、懐のお金が増えて、反対に、現金を貸すほう(貸方)はお金を手放しした結果、懐のお金が減る、という商売としては当たり前の出来事を一般化した考えているものです。
仕訳帳の書き方の話に戻ると、この取引の二面性を帳簿に付けるときの原則ルールとして、
借方は左に、貸方は右に と必ずセットで覚えなさいというものがあります。
とはいえ、このルールで仕訳していると、「左にどっちで、右にどっちだったかな?」とど忘れしてしまう人が続出するようで、世の中にはいろんな覚え方があるようですが、下の図が一般的な覚え方のようです。

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迷ったときには縦にひらがなで「かしかた」「かりかた」と書いて、
がなら右に、 なら左に仕分けるとします。
仕分けに慣れてくると、自然と何か取引で借りたら左に、貸したら右に書けるようになるまでは、仕分けるの覚え方を自分で持っておくと良いかもしれません。


「仕訳の五大科目」



ではそもそも、何故、「借方は左に、貸方は右」にするのでしょう?
仕訳する際に、「勘定科目」という言葉がが必ずついて回ります。
これは適当な名前で帳簿を付ける人間が決めていいものではなく、慣習としてどう付けるべきかパターンが決まっています。
この勘定科目には、大きな区分として5つのカテゴリーに分類できます。

  • 資産科目
  • 負債科目
  • 純資産(資本)科目
  • 費用科目
  • 売上(収益)科目

便宜上、ここでは
「仕訳の5大科目」 として取り扱っていきます。
会計・経理の分野では覚えきれないくらいの勘定科目の種類が存在していますが、かならずこの5つの科目のうちどれかに属すことになります。
そして仕訳の五大科目を使った仕訳の大原則とも言うべきルールを以下のように示します。

  • 資産科目:(借方)お金が増加 / お金が減少(貸方)
  • 負債科目:(借方)お金が減少 / お金が増加(貸方)
  • 純資産(資本)科目:(借方)お金が減少 / お金が増加(貸方)
  • 費用科目:(借方)お金が増加 / お金が減少(貸方)
  • 売上(収益)科目:(借方)お金が減少 / お金が増加(貸方)

...借り貸しが右左どっち?というのを覚えるのにも一苦労だったのに、さらに5つの区分訳けと、取引でのお金の増減の場合も考えないといけないなんてとても頭に入らない!ということで仕訳アレルギーになってしまうかたもいると思います。
そもそもこんな仕訳ルールなんて何処から来ているのか?なんの意味があるのか?と考えたことがないでしょうか。
元を正せば、企業が(複式)簿記をつけるのは、年に一回(もしくは数回)の決算報告を義務付けられているからで、言ってしまえば、そこで要求される2大書類の
「貸借対照表」「損益計算書」 を作るのに必要なデータ収集をコツコツと行っているようなものです。
以下の図のように、貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)は以下のようなフォーマットで整理されるのが通例です。

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見ての通りで
仕訳の5大科目 の話の源は、この貸借対照表と損益計算書そのものです。
企業が営業活動を通してその事業期間(~1年)で、取引が発生するたびに貸方・借方で仕分けしていった過程で、積もり積もった結果として、貸借対照表と損益計算書が出来上がる、とも解釈できます。
そして、先程の
五大科目を使った仕訳の大原則 の5か条は文だけを読むとちっとも分かった気になりませんでしたが、このB/SとP/Lの関係を見ながら読むとより覚えやすいかも知れません。
例えば、資産でお金(価値)が増えるような勘定科目は、B/Sを見ると左側にあるので、借方として仕訳しなければならない、という話でスッキリ覚えられるはずです。


例題から考える仕訳



企業のみならず、老若男女問わず個人であっても、日々の取引による財産の移動が起こっています。 この日々の財産の移動を記帳していくことを「仕訳作業」と呼び、その記帳に使われる台帳は「仕訳帳」となります。
この仕訳作業の最終的な目的は、先程も解説したように、一年に一回会社の確定申告の時に提出しなけばならない
「貸借対照表」「損益計算書」 を作成することにあるといっても過言ではありません。
このうち貸借対照表とは、日々の仕訳を勘定科目ごとに集計して1ページにした重要な決算報告書類です。
その年の資産・負債・純資産が現在どれほどになっているか、この貸借対照表を確認することで、会社の財政状態が分かります。
いきなり会社スケールの話をすると理解しにくいかも知れませんので、ここでは牛乳配達を頑張る高校生アルバイトのAくんのとある年の1月1日から始まる仕訳帳の書き方を考えてみます。

  • 1月1日:Aくんの全財産である銀行口座残高は100,000円であった

これを仕訳帳すると、

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Aくんが元々もっているお金ですので、お金の増減という考えかたは変に感じるかもしれませんが、記帳するだけの取引として考えると、手元にあるお金が増えるので左に
現金 の勘定科目、(実際には減ってる訳ではありませんが)右側には現金を貸し与えた理由として 純資産(開始残高) を書き入れます。
なおここでの勘定科目選びかなり適当ですので、一旦「あーこういうものなんだ」くらいに考えておいてください。
本番用の仕訳帳の勘定科目選びはいずれ別の記事にまとめてみたいとおもいます。
さて、浪費癖の一切ない真面目な勤労少年のAくんの話に戻ります。


  • 1月25日: 給料日に会社から月謝60000円が振り込まれた
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お金が増えたので、
現金 を左に、その増えた理由(貸し主)を 収益(アルバイト) として右に記帳します。

  • 2月10日: 配達用の自転車が事故で大破したので、90000円の自転車を買い直した。

Aくんの安否が気になりますが、ここで90000円の自転車を購入する他無いようです。

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お金が減ったので、
現金 を右に書き入れ、その減った理由(借り主)を 費用(自転車) として左に記帳します。
後日アルバイト先に報告すると、すこし可哀想に思った会社の偉い人が、自転車補助費用も出してくれることになったようです。

  • 2月14日: バイト先が40000円の自転車購入補助金を支給した

...Aくんの趣味で高級な自転車を買ったため、そのへんは全額補助とはならなかったようですが、それでも有り難い収入です。

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お金が増えたので、
現金 を左に書き入れ、その増えた理由(貸し主)を 費用(自転車) として右に記帳します。
...といったAくんの日常の取引からお金の動きを簿記に仕訳していくわけですが、これが会社単位になると取引数も多いので、一日記帳をサボっただけで後日リカバーするのがとても大変になります。
仕訳作業は取引があったその日のうちにやりましょう。


参考サイト



以下、参考にさせていただいたサイトです。